屋根の上のサワン
おそらく気(き)まぐれな狩猟(しゅりょう)家(か)か悪戯(いたずら)ずきな鉄砲(てっぽう)うちかが狙(ねら)い撃(う)ちにしたものに違(ちが)いありません。私(わたし)は沼池(ぬまいけ)の岸(きし)で一(いち)羽(わ)の雁(がん)が苦(くる)しんでいるのを見(み)つけました。雁(がん)はその左(ひだり)の翼(つばさ)を自(みずか)らの血潮(ちしお)でうるおし、満足(まんぞく)な右(みぎ)の翼(つばさ)だけ空(むな)しく羽(は)ばたきさせて、水草(みずくさ)の密生(みっせい)した湿地(しっち)で悲鳴(ひめい)をあげていたのです。
私(わたし)は足音(あしおと)を忍(しの)ば[......]