紅山桜
昔(むかし)、弾(たん)誓(せい)上人(しょうにん)という遊行(ゆぎょう)聖(ひじり)が桜(さくら)の木(き)を切(き)って自分(じぶん)の姿(すがた)を刻(きざ)みはじめたところ、たちまちその木(き)から熱血(ねっけつ)が流(なが)れ出(で)たという。上人(しょうにん)はただちに刻(きざ)むのをやめて、袈裟(けさ)で覆(おお)い、箱(はこ)に入(い)れた、という伝説(でんせつ)がある。
桜(さくら)のなかでもとりわけ、紅(べに)の濃(こ)い紅(べに)山桜(やまざくら)を見(み)ていると、熱血(ねっけつ)が流(なが)れでたというこの伝説(でんせつ)がなまなましく、身近(みぢか)なも[......]